メッセージ


環境情報研究院長
環境情報学府長
根上 生也

 私たちは,私たちを取り巻く環境の中で生きています.さて,その環境の中には何があるでしょうか.

 たとえば,横浜国立大学キャンパスを訪れてもらえば,あなたは木々の生い茂った自然を目にすることでしょう.その木々の間からは研究棟や講義棟が顔を見せています.また,学内の地域を示す看板や様々な情報を告知する掲示板の存在にも気づくかもしれません.反対に,こっそりと置かれた監視カメラには気づかないかもしれません.つまり,一口に「環境」と言っても,そこにはいろいろなものが見え隠れしています.

 さらに,目に見えるものだけが環境ではありません.今日,ほとんどの人がスマホのような情報機器を持ち歩き,多くの人たちと情報交換をしています.いわゆるSNSのように,人と直接会うことなしに作られたコミュニティの中で活躍している人もいます.私たちはもはや目には見えない情報が作る環境の中で生きていると言っても過言ではありません.それと同時に,そうした環境の中で生きる人間の存在も忘れてはいけません.

 環境情報研究院・学府では,大きく分けて,地球や生態系という自然環境,情報が作り上げる環境,人が作り上げる社会という環境に関する教育研究を行っています.それぞれの環境の特性,現象やそれらを生み出す原理を探求する基礎研究を行う一方で,それぞれの環境が抱えるリスクを評価し,安全・安心を確保するための基盤技術の研究を行っています.

 実は,いかにも「環境」や「情報」というキーワードと直接結びつかないように見える研究をしているスタッフもたくさんいます.その代表例は研究院長・学府長を務める私かもしれません.私は数学者です.「情報」の安全を確保するために数学が重要であることを知っている人は多いでしょう.また,数学は自然科学の基礎だと考える人もたくさんいます.しかし,数学者である私は,地球が球形なので,どの時点でも台風の目のような無風状態の地点が偶数か所あることを知っています.

 そんなことを知ったところで自然環境の保全に何の役に立つのかと疑問に思う人がいる一方で,地球に対する理解が深まり,興味がわいたと感じる人もいるでしょう.それはどちらでもかまいません.環境情報では,いろいろな価値観の人が集まって,様々な研究・教育を行っています.理系もいれば文系もいます.それぞれの興味に従って研究をしています.とかく個別的に行われているように見える活動ですが,それらが相互に作用しながら,「環境情報」という1つの豊かな環境を作っています.

 もしあなたが環境情報学府への進学を考えているのなら,次のことを忘れないでください.あなた自身も環境の一部であること.つまり,あなた自身の活動が,私たちの参加できる環境をさらに豊かにしてくれることを.


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